事業も数字もわかるプロフェッショナルとしてスピーディに成長する秘訣とは?

事業も数字もわかるプロフェッショナルとしてスピーディに成長する秘訣とは?

株式会社経営共創基盤 ディレクター
豊田康一郎氏 公認会計士
東京都出身、東京大学大学院工学修士課程修了。2005年現有限責任あずさ監査法人に入所、2009年に株式会社経営共創基盤(IGPI)に入社し、2016年同社ディレクターに就任、事業再生に強みを発揮して活躍している豊田氏。早い時期から自分のキャリアプランを意識して就職と転職をし、しなやかかつスピーディに会計士としてのキャリアを積み上げている豊田氏のあり方は、キャリア形成に悩む人への良いヒントになるでしょう。

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父の背中を見て経営に関わる仕事がしたいと会計士を志す

―会計士を目指したきっかけを教えてください。
会計士自体になりたかったというのではなく、将来のキャリアのパスポートとして資格を取ったというのが本当のところです。大学3年になって就職を考えたときに、大学では土木工学を専攻していたのですが、父が不動産鑑定士で独立開業していたため、経営に関わる仕事がしたいとも思っていました。専攻を活かしてインフラ関連の企業に入社したとしても、会社のトップになれるのは何十年も経ってから。私はせっかちなので「そこまで待てない、だったらプロフェッショナルになれば早く経営にタッチできるのでは」と考えました。
次に「理系でも経営を行えるようになるにはどうすればいいか」を考えたときに、マネジメントとお金と法律がわかることが必要だと。理系なのでまずはお金だろうと考えて簿記を始めたら、これが性に合っていたようで。そこで、公認会計士の資格を取ろうと決め、大学院に籍を置きながら会計士の勉強をして、在学中に合格しました。あとで調べたら、自分の専攻で会計士になった卒業生は過去50年間、自分で3人目でした。大学院の方もきちんと修論を書いて卒業しました。

―卒業後は監査法人に入られたのですね。
5年限定で修行しようと思い、あずさ監査法人に入所しました。5年で勉強できることを全て学び尽くそうという計画でしたが、実際には丸4年で監査法人を卒業しました。就職先選びの際に、私は重要視していたポイントはたった一つ。"5年でいかに促成栽培できるか"ということ。期間限定で学び尽くしたかったので、責任あるポジションでどんどんクライアントを任せてくれるかどうかだけを基準にして、先輩方から情報を集め、全監査法人の全事業部をスクリーニングし、最終的にあずさ監査法人の国際部(当時の第二事業部)に入所しました。1年目から外資系企業のインチャージ(担当者)をやっていましたね。メインで担当していたのは、エネルギーと製造業と製薬業です。

―5年でどこまでやりきろうと思っていたのですか?
監査法人における会計士のキャリアは線形にではなく階段状に上がっていくと思います。まずシニアに上がって上場企業のインチャージを任せてもらえるかどうか。私としてはこれが最初の重要なステップだったのですが、3年目には経験できて。そうなると、次は海外に行くかマネージャーになるかしかありませんが、そこまで行くのに3〜4年はずっと平坦な道が続くわけです。そこで、次なる経験ができる場を求めて、東証一部上場企業のインチャージを1年勤めた後、監査法人を辞めました。ちょうどその頃は会計士の大量合格時代で、後輩の転職者が増える前に転職してしまおうという戦略もありまして。そこで、IGPIへ転職をしました。

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経営に参画できるハンズオン型コンサルティング会社へ転職

―IGPIではどんな仕事をされているのですか?
IGPIの主な事業内容は、戦略コンサルティングやM&Aアドバイザリー、および自社資金による投資事業です。また多くの場合、常駐型でのハンズオン支援の形を採ることも特徴です。
いま私が行っている社内でもエッジの立ったプロジェクトに、投資×再生事業のお仕事があります。たとえば、ある領域で世界シェアトップの製品を持っているのに思うように利益が伸びていない上場メーカーに、投資を行うと同時にハンズオンで会社に入って、事業を立て直します。必要に応じて私も役員として参画します。コンサルティングフィーだけでなく、業績が回復すれば株価が上がって投資リターンも得られるという、弊社にしかできないビジネスモデルです。"グローバルニッチトップメーカーに対する投資モデル"と呼んでいますが、"このような案件がきたら豊田に"と言ってもらえるくらい、知識と経験が積み上がってきていると思います。

―実際にIGPIに入社されて、ギャップはありましたか?
ギャップはないですね。結果論ですが、カルチャーフィットしているからこそ、10年ここで働き続けていられるのだと思います。能力的にも人間的にも優れた同僚たちと、入社前に思い描いていたように幅広い仕事ができています。
入社当初は、社内のチームミーティングの時点でまったくついていけませんでした。監査法人を辞めるとき、周囲に「乗り越えるべき壁を探しにいきます!」と啖呵を切って辞めたんですが、まさにその通りで。初日からドーンと大きな壁にぶち当たりました。スピード感といい頭の使い方といい、「これは今までとはレベルが違うぞ」と衝撃を受けました。いま思うと普通だったなと思いますが(笑)

―いま振り返ってみて、監査法人での経験が活かせた点はありますか?
会計士として管理会計を知っているのは強いと思います。企業の儲けの構造を知っている、会社に投資した後の運営方法を知っているというのはコンサルティングや投資では重要です。財務会計は比較的関係がありません。監査法人でたくさんの会社を見てきた経験も大いに役に立っています。監査法人時代は4年で40社、いろいろな会社の仕事のやり方を実務でたくさん見てきたのは、クライアントに実務上のアドバイスをする上での糧になっています。


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新しい時代の安定は、どこでも生きていける力を身につけること

―入社して10年、どんな成長実感がありますか?
私は再生分野に強いのですが、IGPIで働いてきて、危機的状況にある会社にたった一人で送り込まれても、陣頭指揮を取ってなんやかんやで立て直せる自信がつきました。対象の会社の規模によらず一人で何でもできる究極の経営プロフェッショナルを目指す。これを社内では"田舎の駅長モデル"と呼んでいます。
いまは大企業に入れれば一生安泰という時代ではありません。新しい時代の安定とは、組織にしがみつくのではなく、"どこでも生きていけるポータブルな力を身につける"ことだと思っています。そういったスキルと自信を持てるようになったことが、IGPIに入社しての最大の収穫でした。

―企業が再生していくときはどんな兆候があるのでしょうか?
例えば飲食業界は早ければ施策を打った翌日には結果が数字で出ますが、模倣されて競争優位性を失うのも早いという特徴があります。一方例えばBtoBの製造業は施策の結果が数字で出るのが遅く半年くらいはかかりますが、知財等で競争優位性を守りやすいですし、BtoBなら取引も継続的なので足が長い。そのため一度結果が数字で出てくるとその数字を持続しやすいという特徴があります。ただし、数字を良くすることは1年でできても、組織や人のマインドを変えるにはもう1年かかるというのが持論です。働いている人のマインドセットを一朝一夕に変えるのは無理で、実際に数字が出始めて自分たちのやってきたことが正しかったと分かってから、それに合わせるように人の心とも変化していきます。

―自社の会計士採用も担当されているそうですが、どういう会計士がコンサルとして活躍できるとお考えですか?
"会計士という資格に寄りかからない人"だと思います。会計士であることを一度忘れて、ゼロからやる気があるかどうか。それで2〜3年仕事を続けることができれば、いつか会計士の資格や経験が活かせる次のキャリアが見えてきます。
RPGのゲームにたとえて言うなら、事業のわかる戦略コンサルタントは前線の戦士、会計士は後方支援する魔法使いのようなもの。魔法使いを一度辞めて、戦士をレベル1からやる。それで生き残っていければ、2〜3年後には魔法戦士になれるイメージです。ですから、いったん魔法使いを辞めるというマインドセットが一番大事だと思います。

―IGPIにフィットするのはどんな人材ですか?
中途採用でも必ずコンサルタントとして全業務を経験させるというのが弊社の方針です。とはいえ、3年以上の監査法人経験がある会計士なら、例えば事業再生の数値計画を財務モデリングで作成することなどが仕事的にはフィットすると思います。そこから入って、ビジネスサイドの仕事にシフトして経験していくのが良いのではないでしょうか。弊社で働くなら、これが会計士として一つの手堅い成長のパターンだと思います。"T字でスキルを伸ばせ"とよく言うのですが、会計士としての知識と経験を軸足にしつつ、会計以外の仕事の横幅広げていくのが良い方法です。

事業も数字もわかるプロフェッショナルを目指して躍進し続ける

―10年間でキャリアや仕事に対する考え方は変わりましたか?
仕事のやりがいの視点が変わりました。自分の仕事には、自分の成長のためという視点だけでなく、社会的な意義という視点もあるのだと腹に落ちてわかるようになりました。
IGPIに転職する際、面接官に「仕事のやりがいは何ですか?」と逆質問したら「目の前の人の役に立つことです」と言われたんです。私はまだ20代でしたから自分のことしか考えられなくて、「やりがいって自分のスキルを磨けることじゃないの?」と思いました。

しかしIGPIで仕事をしていくにつれ、我々の仕事はクライアントを元気にすることで目の前の人の役に立つととともに、日本の産業を守ったり地方を再生したりすることにまでつながる壮大なスケールの仕事なのだとわかり、目の前の仕事のサイズ感がとてつもなく大きくなりました。自分のことしか考えられなかった頃は半径30センチくらい、今は数百キロ、数千キロもの大きさがあることを肌で感じます。こうしたスケール感をわかって欲しくて、新しいプロジェクトが始まるときは必ず、キックオフミーティングでそのプロジェクトの社会的意義をメンバーに伝えるようにしています。

―今後どんなキャリアパスを描いていますか?
入社のときから自分で目指しているのは、"事業も数字もわかるプロフェッショナル"になること。今後は今のように経営参謀や投資家として経営参加する仕事を続けるか、プロフェッショナル経営者として会社から出て活動するかの2択だと思います。
過去2年間新卒採用の責任者をやっていましたので、会社をより良くして自分が採用した若手社員のみんなに幸せに仕事をしてほしいという使命感もありますね。

なりたい自分を明確にしてスピーディな成長を遂げてほしい

―次のキャリアへ向けて悩んでいる会計士にメッセージをお願いします。
キャリアプランを明確にしないまま、だらだら同じ場所に居続けるのは機会損失が発生し、貴重な人生の時間の無駄になりかねません。今の場所に残ると決めたらそれで頑張ればいいし、そうでないなら、学ぶことが学べたら可及的に速やかに外に出て次のステップを踏んだ方がいいと思います。人は同じことを繰り返していると、成長曲線の傾きがどんどん寝てしまいますから。身を投じたい事業が確固としてあるならベンチャー含め事業会社に行ってもよいでしょうし、色々な会社を見てみたいなら、プロフェッショナルファームが良いのではないでしょうか。経営サイドの勉強もしたい会計士にとっては、IGPIは日本有数の環境だと胸を張って言えます。

Profile
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株式会社経営共創基盤 ディレクター
豊田康一郎(とよだこういちろう) 
公認会計士 
<経歴>
東京都出身、東京大学大学院工学修士課程修了。
2005年現有限責任あずさ監査法人に入所
2009年に株式会社経営共創基盤(IGPI)に入社
2016年同社ディレクターに就任

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